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歴史というクリエイティブ

個人的に今、 日常の何気ないものに歴史を感じることに はまっていたりします。

例えば、アンパン。 アンパンは江戸東京博物館にもわざわざ展示されているもので、 文明開化によって西洋から入ってきたパンを日本人にも食べやすいものにするために、 日本人に馴染みのある「あんこ」と組み合わせて生み出したクリエイティブらしいです。

アンパンの歴史に埋もれた無数の名もなき人たちの役割

アンパンが単なるゼロベースの輸入品ではなく、日本独自のクリエイティブなのだとしたら、 当然、アンパン以外にも色々なパンが当時作られ、試行錯誤されたはずです。 たまたまユーザーの人気を射止め、後世にまで残ったのがアンパンだったというだけなのだと思います。 アンパンの歴史という意味では、アンパンを考案した人だけでなく、 歴史に残ることがなかったボツ案を作った、無数の名もなき人たちの役割も大きかったと思います。 なぜならユーザーに多様な選択肢を提供したわけですから。

歴史というものが現代から切り離された「ロマン」ではなく、 そういった無数の名もなきクリエーターの試行錯誤の上に成り立っている、 ということを考えるのが個人的には好きなのです。

私たちの何気ない日常が歴史の一部になっている。

そう考えると、今われわれが日々行っているデザインもまた、歴史の一部です。 たとえ、アンパンのように後世にまで残るものを作り出せなかったとしても、 名もなき試行錯誤という形で後世にほのかな匂いくらいまでは残せる。 そう考えると、ドキドキします。

ちなみに、一時期デザイン界を賑わしたフラットデザインやマテリアルデザインは、 今からおよそ100年前に建築などで起こったモダニズムのリバイバルという説がありますよね。 これもまた、大きな歴史の中の一部であり、私たちはその歴史から逃れることはできないという証明になりますね。

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